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彗星資料改め、ガラス絵博物館

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=ammolite2 (photo credit; NASA)彗星サイトはこちらに移動しました。


by ammolitering

ガラス絵資料 4

3、材料と道具など
(1)土台となるガラス
額縁についているガラス板に描くのが始めやすい。
ガラス皿。
窓。
プラスチックの箱その他。
すりガラス、模様入りガラス、色ガラスなど。

ガラス絵を描く土台は、透明なものであればガラスでなくても構いません。プラスチックに描くこともできます。板ガラスである必要もありません。お菓子など入っていた透明の箱でもいいし、CDのケースでもいいです。見渡すと、何か描けそうなものはたくさんあるものです。探してみてください。でも、最初にガラス絵にとりかかるなら、絵葉書程度の大きさの額縁についているガラス板が扱いやすいと思います。

ガラス自体も、無色透明なものでなくてもいいのです。色ガラスや模様入りのガラスに描くと、面白い効果が出ます。すりガラスだと、薄めた水彩絵の具でも描けます。透明感を生かしたガラス絵にしたい場合には効果的です。

写真資料:梅干の入っていた容器に描いた作品、ガラス皿に描いた作品、窓絵、カセットケースの絵。

(2)絵の具など
リキテックスのアクリル絵の具が個人的にはお勧め。はがれにくく、退色しにくい。
透明絵の具。
実用品にはエナメル絵の具で描いて焼き付ける。
メタリックの絵の具、ラメ、イリデッセントなど。
すりガラスだと水彩絵の具でも大丈夫。
輪郭を取るのには油性マジックを使う。ガラスに乗りが良いものを選ぶ。
バーニッシュ(絵の具を薄める、細い線を抑える、など)
リターダー(乾燥を遅らせる)
そのほか、砂、金属を削ったカス、切り抜きの絵や写真など工夫できる。

ガラス絵を見た人が決まって尋ねるのが「絵の具は何を使っているのか」、「どれくらい時間がかかるのか」という二つの問いです。よほど気になることであるようなので、詳しくご説明します。主に使うのはリキテックスのアクリル絵の具です。Concentrate またはSoft Bodyと呼ばれるものが向いています。(Concentrate が名称を変更されてSoft Bodyになったものです。)もっと値段が安いBasicというシリーズもありますが、これは色素が少ないので透けた感じになり、私の描きたい絵には向いていません。リキテックスのアクリル絵の具は、ガラスへの定着性が優れていて、何年経ってもはがれません。また、ライトファストという退色率が低いので、色によって違いはありますが極めて退色しにくいです。

アクリル絵の具には他にもいろいろありますが、トールペイント用の絵の具はガラスへの定着が悪いのでお勧めしません。安いものだと退色率の表示がないものもあります。また、乾燥が速すぎたり、濃度が濃すぎたりするものもあります。いろいろ試してみましたが、手に入るのであれば、そして多少値段は張りますが、ガラス絵を本格的に描いてみようと思われる場合は、リキテックスのSoft Bodyシリーズの基本色をそろえることをお勧めします。

そのほか、ペベオの透明ガラス絵の具を使うこともあります。これも粘性のあるプラスチック系の絵の具と、硬度の高いエナメル系があり、用途によって使い分けます。また、水溶性のと特別の溶液が必要なのがありますが、水溶性のが扱いやすくて便利です。お皿などの実用品に描く場合には、エナメル絵の具で描いて焼き付けます。トールペイント系の絵の具にもエナメルのものがありますが、それだとガラスへの定着も良いし値段も手ごろです。私は透明と不透明の絵の具をいろいろに混ぜたり重ねたりして使いますが、焼付けする作品には加熱できる絵の具だけを使う必要があります。

油絵の具は使ったことがありませんが、伝統的なガラス絵は油絵の具で描かれていたそうです。いつか使ってみようとは思うのですが、まだ実行していません。乾燥が遅いので、ブレンドなどもしやすいかもしれません。アクリル絵の具は乾燥が速いのですが、それを遅らせるためのリターダーという添加物もあります。私はあまり使いませんが、滑らかなブレンドをしたいときには便利です。

水彩絵の具で描くこともあまりないのですが、描けないわけではありません。水で薄めすぎるとガラスの表面ではじいてしまいますが、ほっておくと面白い模様になって乾きます。また、水彩で描いた絵の具の層は簡単に削れるので、それを生かした絵が描けます。絵の具が弾かないほうがいいのであれば、すりガラスに描くのがいいです。紙に描くときのように薄く描けます。

絵の具にバーニッシュを混ぜることもあります。これは透明の糊のようなもので、不透明の絵の具に独特の透明感を与えます。細い線などの上に絵の具を重ねるとき、下の絵の具が動かないようにバーニッシュで抑えておくこともあります。

絵の具ではありませんが、輪郭を取るのには油性マジックを使うことがありますが、これもガラスへの定着が悪いものがあるので、いくつか試してみてください。

その他、メタリック絵の具、ラメ、イリデッセント(玉虫色)絵の具など、工夫して組み合わせると面白い絵になります。こうした画材だけでなく、砂、金属を削った削りカス、雑誌などの写真の切り抜きなど、身近なものを工夫してガラス絵に取り入れるのも面白いものです。

なお、「どれくらい時間がかかるのか」という問いですが、これは作品によりけりです。毎日朝から晩まで描いているわけではなく、仕事と他のことの合間に描いているので、ちょっと大きなものだと2-3ヶ月か、それ以上かかる場合もあります。でも、お休みの日に一日で小さな絵を描いてしまうこともあります。

(3)道具類
身近なものを工夫して使える。筆の他には特別な道具は不要。

ガラス絵を描くときには、絵の具類以外には特別な道具は必要ありません。私が使っているのは、身の回りにあるものを代用したものがほとんどです。あえて特別なものと言えば、ガラスの表面に手がつかないようにする台だけですが、これも別になくてもいいし、板に割り箸などを貼り付けるだけで簡単に作れます。

筆、水入れ、パレット(お皿でも良い。プラスチックのフタなどが便利。)
要らない布、ペーパータオル
スポンジ、歯ブラシ、綿棒(工夫して使うと面白い効果が出せる)
先を削ったお箸、竹串(修正するときなどに便利)
トレーシングペーパー、鉛筆、消しゴム、ペン類、色鉛筆(下絵を描くのに使う)
手を乗せる台(手がガラスにつかないようにする)
霧吹き(パレットの絵の具の乾燥を遅らせる)
ヤスリ、テープ(ガラスの下準備に使う)

写真資料:道具類の写真

(4)取り扱い上の注意と下準備・仕上げ
*ガラス
安全のためにアクリル板を使っても良い。
手を切らないように縁をヤスリで削る。細いテープを貼っても良い。
洗剤でよく洗い、酢水で油気をふき取る。
*絵の具
口や食べ物に触れる部分には描かない。
アクリル絵の具などは衣服やテーブルについたら取れないので注意する。
筆についたまま乾燥したら取れないので、すぐに良くすすぐ。
絵の具のフタをこまめに閉める。
換気を良くする。
*仕上げ
額縁
焼き付ける作品

ガラス絵を描くときには、ガラスや絵の具の取り扱いに注意してください。ガラスは手を切らないように縁をヤスリで削っておくことをお勧めします。細いテープを貼っても良いでしょう。安全のためにアクリル板を使ったほうがいい場合もあるでしょう。絵を描く前には洗剤でよく洗います。そのあと、酢水で表面をふき取って、よく乾かします。滑りやすいので、落として割って怪我をすることのないように気をつけてください。

絵の具やマジックを大量に使う場合は、換気を良くしてください。お皿などに描く場合は、食物や口に触れる部分には描かないように注意が必要です。また、絵の具類は衣類やテーブルなどに着いたら取れないので、汚れても構わない服装をして、作業台を新聞紙などで保護してください。筆に絵の具がついたまま放置した場合も、固まってしまって使えなくなります。必ずすぐに余分な絵の具をふき取って、水ですすいでおきます。絵の具のフタを開けっ放しにしておくこともないように注意してください。

できあがったガラス絵は、板ガラスであれば額縁などに入れ、エナメルで描いた実用品であればオーブンで焼き付けます。板ガラスの絵の場合、2-3日放置して完全に乾かしてから額縁に入れてください。また、絵の裏には酸化しにくい紙を敷きます。あとになって額縁を入れ替えるなどの理由でガラス絵を取り出すときは、裏に敷いた紙を無理にはがさないようにしてください。ガラス面についた絵の具がはがれる恐れがあるからです。

実用品の場合は丸一日放置して乾燥させ、絵の具のメーカーの指示に従って焼き付けます。基本的な手順としては、作品をオーブンに入れてからスイッチを入れ、30分したらスイッチを切り、オーブンの扉を開けて自然に冷まします。部屋がかなり臭くなるので、必ず換気を良くしてください。小さなお子さんなどいらっしゃる場合には、念のために焼付けはしないほうがいいかもしれません。なお、オーブンによって温度が違うので、最初からたくさんの作品を一度に焼くのはお勧めしません。白などの色の薄い絵の具の場合は焼くと黄色っぽくなる場合があるので、温度は低めがいいと思います。焼き付けるときには、絵の具の面が天板などに触れないように置いてください。

焼き付けた絵の具は洗ってもいいほど強くなりますが、それでも水に長いことつけておいたり、タワシでごしごしとこすったりするとはがれやすくなります。できるだけ丁寧に扱ってください。

by ammolitering | 2011-03-23 02:18 | 画材の説明など